インパラは転ばないが人間は転ぶ

作家・池澤夏樹の作品に「インパラは転ばない」
という軽妙な名エッセイがありますが、人間とは転ぶ生き物です。
人はなぜ転ぶのでしょうか?
そこにはきっと、不注意だったり空き缶だったり雨で濡れたマンホールの蓋だったりと、
しょうもない理由があるのだと思いますが、ひとつ確実に言えるのは
「いいオトナが転ぶとみっともないよね?」ということです。
そこで今日は、自戒の意味を込めて衝撃的な転倒体験ベスト3を振り返ってみます。


<第3位>惨劇! 雨の麻布台でじゃがりこは2度宙を舞う!!


前の会社に勤めていたときのことです。


連日の泊まり込み作業に疲れた僕は、息抜きにお菓子でも買おうとコンビニへ向かいました。
缶コーヒーとじゃがりこを買い、トボトボと会社に向かう途中に悲劇は起きたのです。
その日は雨が降っており、現場は緩い下り坂。
そして僕は、雨で濡れたマンホールの蓋の恐ろしさを忘れていました。
そのことを思い出した瞬間、僕の身体と買ったばかりのじゃがりこは宙を舞っていました。


僕は、ひらがなの「し」のような、もしくはエビのような形になって尻から地面に落ちました。
自分でも惚れ惚れするほどの、芸術点高ポイント間違いなしの、それはもう見事な転びっぷりです。
しかし、ここであわててはいけません。
僕は平静を装いつつ、何事もなかったかのように素早く起きようとして……


もう1回、転びました。
寸分違わず、エビのような姿勢で尻から。
あわてすぎだ!


さすがに今度は、すぐに起きあがる気力はありませんでした。
何か、今まで感じたことのない巨大な敗北感のようなものさえ感じました。
そんな僕の脇を、袋から飛び出したじゃがりこがあざ笑うかのようにコロコロと転がっていきました……。


<第2位>最悪! 給食当番は階段が鬼門!!


小学4年生のことです。
その日、僕は給食当番でした。
今日の献立は、わかめスープ。
わかめだけではなく、溶き卵も入った人気メニューです。


1Fの給食室で巨大な食缶(蓋のついた巨大なバケツのような汁物運搬用の容器)を受け取り、
給食の到着を今か今かと待っているクラスメイトの元へと急ぐ道中。
悲劇は突然訪れました。
急ぐあまり階段を2段飛ばしで駆け上がろうとした僕は、
目測を誤ってつまずき、勢いよく頭から階段に突っ込んだのです。
もちろん、4年X組40名分のわかめスープが入った食缶とともに。
約10リットルのわかめスープが宙を舞うさまは、
荒れ狂う鉄砲水のようだったと言われています(嘘)


15分後。
空っぽの食缶を片手に、他のクラスを回ってわかめスープを分けてもらう僕の姿がありました。
「自己責任」という言葉の意味を、初めて身体で感じた瞬間でした。
ちなみに小学2年生のとき、同様に階段を踏み外して、
クラス全員分の牛乳瓶を1本残らず粉々にしたこともあります(幸いなことに給食後でしたが)
給食当番にしたくない男ナンバーワン。


もし、今後の人生で給食当番を担当することがあれば、
階段には十分注意していきたいと思います。
……なんだか書いてて切なくなってきたので、<第1位>は教えるのヤメた!(逆ギレ)