夏のテクノ祭り、迫る

今週末、夏のテクノ祭りこと「WIRE 10(ワイアーテン)」が横浜アリーナで開催されます。
そこで今回は、特に誰にも頼まれていませんが「WIRE」の思い出を勝手に振り返ってみます。


【思い出のWIRE:ベスト1】
WIRE 03「星空とStar Dancer」
この年(2003年)の夏は仕事が忙しく、当日は土曜にも関わらず朝から出社。
ようやく一段落ついて会社を出たのは21時過ぎで、会場入りできたのは22時を回っていました。
友達と合流し、駆けつけのビールを流し込むと足早にセカンドフロアへ。


思い思いに踊る人の海でゆらゆらと音に身を任せていると、
フランジャーのかかった特徴的なイントロが…。
これは…Star Dancer!
次の瞬間、感極まった僕は思わず雄叫びをあげていました。
1993年発表のこのテクノクラシックは素晴らしい浮遊感に満ちた大名曲で、
個人的なオールタイムベスト10に間違いなく入る大好きな曲です。


さいたまスーパーアリーナでは、セカンドフロアの天井の一部がガラス張りになっており、
夜空を見上げながら聴くStar Dancerは、掛け値なしに最高でした。
「ああ俺はこの瞬間のために生きてるんだよなあ」と、心の底から思ったものです。


そして翌朝のイベント終了後、家で風呂だけ入ってまた会社にとんぼ返りし、寝袋に潜り込みました…。



【思い出のWIRE:ワースト1】

WIRE 02「何なの? そのサンバイザー」

こちらはイヤな思い出。
WIRE」は回を重ねるごとに集客も増え、最初はテクノ好きが集まるイベントだったのが、
次第に、ただ騒ぎたいだけとしか思えないような客も目立つようになってきていました。
そして残念なことに、一部には「自分だけ楽しめればいい」という考えの人たちもいます。
とくに大勢で来ている輩にその傾向が強いようで、何かにつけていちいち集団で行動するスタイルは、
ひとりで音の世界に没頭したい僕のようなタイプの人間にとっては、目障りに映ることも少なくありません。
それは、Co-Fusionのライブで盛り上がるセカンドフロアでのこと…。


ライブが終わりに近づき、次のDJ RUSH目当ての客がなだれ込んできました。
朝の通勤電車並みに混み合う、しかもほとんどの人が踊っているフロアをすり抜けて移動するのは至難の業ですが、
なるべく人の合間を縫って邪魔にならないように移動するのが本来、最低限のマナーのはずです。


ところが、気持ちよく踊っているところを後ろからいきなり突き飛ばされて振り向くと、
タテ一列に並んで、いわゆる「電車ごっこ」状態になった5〜6人の若い男女が、
強引に人を押しのけて前に進んで行きます。
あまりの傍若無人さに腹が立った僕は、抗議の意を込めて最後尾の男の背中を軽く押しました。
すると、サンバイザーをかぶったその若い男が僕に顔を思い切り近づけて、こう言ったのです。


「おい、いま押したろ?」
「……押してない」
「押したよな?」
「…押してない」
「押したろ?」
「押してない」
「押したろ?」
押しました
「やっぱ押したんじゃねえか!」
「いや、押してない」


そんな不毛な押し問答の末(一部脚色)、なおも睨み付けてくるサンバイザー男のマヌケ面を眺めながら、


(あー何やってんだ俺。バカに関わるとバカを見るのは自分なのに。
 しっかし、ダサいサンバイザーだな。ていうか、そもそもサンバイザーって…オシャレのつもりかそれ?
 どこの村の洋品店で売ってんだよ! むしろ俺も欲しいわ!)


などと考えているうちに何だかアホらしくなり、相手もそれを察したのか仲間のところへ戻っていきました。
それ以上のもめ事には発展しなかったもののテンションはガタ落ちで、
けっきょく最後まで、気分を完全に回復するには至らず。
年に一度のお祭りが台無しです。


みんなも、サンバイザーには気を付けろ!